パーン棒が逆のGitzoG1370M

早朝快晴。極力早く行くつもりが、賃労働で3時まで起きていたため起きられず7時半頃東京テ*レポート着。空き地の裏口は前回は開いていたのに施錠されている。
めがける方角は無雲だが空の色が浅い。風があり三脚2段。積載は3.5kgに食品を追加して5kg弱。これが最後の機会かもしれないし、いつ追い出されるかわからないので手早く1枚目。といっても8時頃。EV15.5、1m。まだ確認のとれていないLiscoでなく安心なTOYOのホルダで。ちょっと覆い露光。しかしどこを中心として動かせばいいのかもわからず、覆い露光で失敗したくないので以後は覆い露光なし。左に動き、さらに近づいて数枚。同じ位置でティルト角度を変えただけのも1枚。9時頃ワゴン車が数台入ってくる。こっちをうかがっているようだが素知らぬふりして続行。ついにそのうちのひとりが近づいてくる。結構な歳なのに何がうれしいのか知らないが頭髪をAu色にし、濃いマゼンタ系の衣類を着用した、およそ理解を超越した色彩のアジア人がやってきて、「何をやっているんですか、フ*ジア*ールと申しますが」と言う。あとで標識を見たら、フ*ジ子会社の設計事務所らしい。見た目よりはていねいな話し方。写真撮影と答えると、「許可は取ってるんですよね」と来たので、港*湾局に電話したら作業の邪魔にならなければいいと言われたので、と。3度目ともなればさすがに知恵もついてくる。そういうことなら、とおとがめなし。雲があったら撮影できないのに、特定の日の撮影許可なんかもらっても意味がない。ましてこの五月は記録的な日照時間の少なさ。カギがかかっていたのに入っていたのを不審がられたので、あっちは開いていました、と乗りこえてきた方を指さすが、実は開いていないのがばれるとまずい。引き上げてはくれたが、怪訝そうな様子もあるし、港*湾局に*裏をとられるとまた一芝居必要になるので、面倒になる前にすませようと早めに進める。さっきの業界風情とはまったく異質の実直そうな作業服の下請け風が測量をはじめ落ち着かない。10時頃目玉にアイライトが入りかけるが、太陽が高すぎて上のほうだけ。冬至前後なら目玉がもっと明るくなったのだろうが、もう困難。なんとか王がおったったら来てみるとは思うけれど。10時半頃6枚撮りきり撤収。ちょうど雲が出はじめる。
さてまだまだ時間はあるのでどうするか。朝から行く必要があるということは、光線条件が午前中でなければならないわけで、午後はその場所での撮影はできなくなる。午後も晴れていれば一日2セットとなるのだがなかなかきつい。しかも3時間しか寝ていない。舞浜でガ*スタンクのやりなおしも考えるが、一日二回の侵入は気が重い。それに新しい場所も見たいので、下見気分で横浜へ。神奈*川導*管ネッ*トワー*クセン*ター。東海道線から見るたび気になっていたのだが、まったく近づけず期待はずれ。みなとみらいに行き都市*基盤*整備*公団*横浜*中央*都市*整備*事務所。がんばってこしらえあげましたといった体。電車で根岸。新日*石もまったく寄れず。エネルギー産業はどこもまず無理。港でしばし昼寝。東*ガスも脇を抜けるだけ。東*電も敷地に入れば変なものがごろごろしているのだが、土田ヒロミでもなければ撮影どころか入場許可すら出そうもない。電源*開発の火力*発電*所が東*電の発電*所に隣接しているのが奇妙。電源*開発は民間に電力を供給する国策*会社が民営化してできた株式会社らしいが、株式の大半を電力*会社が保有している模様。それでは競争も電気料金の適切化も起こるわけがなく、民営化して寡占が進んだだけじゃないのか。そんな癒着をこの隣接に見るのは深読みか。東*芝、日清*オイ*リオを遠目に見て磯子から帰投。
GitzoG1370M改の按配はすこぶるよし。Manfrottoギア雲台のほうが向いているかとも思っていたが、パーン棒で何度も何度もティルトの上げ下げを繰りかえしながら像を見続けるとどうにかフレーミングがつかめるので、これのほうがずっと有利なはず。徐々にこの箱の使い方を掘り当てつつある。やはりこの用途には平型雲台タイプの、ティルト軸がレベリング軸より上にある仕組のほうがはるかに使いやすい。左右の傾きをレベリングで調整したら、あとはレベリングに影響されずにティルトし放題。軸方向自体が動いてしまうことによりねじれが生じるので、あとから調整したい方向の軸が上にあるほうがよい。一般的にも俯瞰や仰角の場合には、左右の水平を出してから前後の角度を調節する場合が多いと思われるので、この仕様のほうが便利な局面が多いのではないか。しかるにこの平型雲台以外のほとんどの3ウェイ雲台で、その逆のティルト軸よりレベリング軸が上にある設計が採用されているのは、ひとえに35mmや645判や一部の67判といった縦位置横位置の切りかえができない機種を、雲台側で縦位置に構えられるようにするための方便であると考えていいだろう。ビューカメラやレボルビングバック搭載の一眼レフカメラがカメラ本体に備えている縦横切りかえの機能を、軽量化や単純化のために外に出してしまい、撮影者や三脚側に負担させているのが多くのリジッドボディのカメラであるといえるが、そのために雲台の機構に制約が生じ、三脚使用時の利便性が低下しているということになる。
35mmカメラなどは総じて手持ち撮影を主眼に設計されていて、三脚に乗せて使うことなどほとんど考慮されていないのではないかと思わされることがしばしばある。RTSIIIは雲台にセットしてネジを締めるとボディ下部がたわむというとんでもない欠陥を持っているし、Mamiya7は雲台にセットしたままではレンズ交換はおろかフィルム交換さえできない。Mamiya7もそうだが、RicohG3や他にいくつか見たコンパクト機種はみな、強度やコンパクト化のためだろうが、三脚穴がレンズ光軸下になく左右いずれかにオフセットされていて、パーンして左右に首を振らせると構図が大きく変わってしまいたいへん不便。ついでに三脚穴もあけときました、といったおざなりなものが大半である。
基本的にビューカメラでは、三脚なしでは何もできない。ビューカメラというのは、レンズと向かい合わせに置いたすりガラスに映った結像を直接見ながら操作するタイプのカメラのことであるから、手持ち撮影というのはおよそ現実的ではない。スピードグラフィックなどの距離計つきのプレスカメラや、カンボワイドやジナーハンディといったヘリコイドつきのリジッドボディ機は手持ち撮影を念頭につくられているが、それらは4x5ではあってもビューカメラの範疇からは外れている。ビューカメラとしても使えなくはない、というだけ。距離計も外付ファインダーもないタチハラ8x10で手持ち撮影をやらかしてしまう長町文聖のような人物もいるにはいるけれど、あれはノーファインダー撮影のようなもので、もはやピントグラスもいらないような使い方である。ビューカメラの設計は三脚の使用を当然の前提としており、どの機種も三脚上で十全なパフォーマンスを発揮できるようにつくられている。そのように鈍重な操作を要するカメラがどうやら性に合っているようだ。あれこれ迷いに迷ったあげく、ちょっとずつ変えて何回も同じものを撮影するといった逡巡の過程そのものが撮影行為であり、こんなようなことをつらつらと考えながら費やしている時間は不思議と充足している。三脚上で使うためのカメラは、一点に固定されて用いられるようにつくられた、つまり動かさないためのカメラである。一方、手持ちで使うことを優先されたカメラとは、意のままに振り回して対象を自由に追いかけることができるように設計された、いわば動かすためのカメラである。手持ち撮影というのは、必ずしも反応速度を要する場面だけではないにしても、即座に判断して実行することが求められる。手持ち撮影で水準器に目配りしながら同時に雲の流れも見て風にも留意し、その上で対象をしっかり把握する、なんぞという芸当は到底できないし、すべきことでもなかろう。俊敏さをがものをいうようなスナップや、思い切りのいい撮影のスタイルを求めるようなカメラは向いてない。カメラを介してあれこれ考えることがおそらく重要なのだろう。そんな思索型の写真がたまにはあったっていいじゃないか。
35mmカメラを三脚に乗せて近接撮影をやっていた時期もあるが、フレーミングを変えるにはカメラ本体を動かすしかなく、場合によっては三脚ごと動かす必要もありもどかしかった。ファインダーでは細部もわからないし、このくらいでいいだろうと妥協することも多かった。でも、35mmでさえそういう撮影スタイルで使っていたわけだ。それなら小回りのきくビューカメラのほうがいいに決まっている。レンズや針穴とたかだか名刺程度のフィルム画面を中空に浮かせて意図するとおりの位置と角度で静止させ、その間を遮光する、たったそれだけのためになんであれほど大がかりな装備が必要になるのか、6x9を使っていたときには時おり、無駄な対価を払っていると感じたものだった。4x5メインになってからあまり思わなくなったが、現実に実行するにはそれだけの機材を使わざるをえないということを体得するまでしばらくかかったように思う。箱のことばかりが頭にあって三脚については忘れてしまいがちだが、三脚と雲台があってはじめてこのような撮影の流儀が可能となる。現状ではこの箱は三脚穴の固定がゆるくて充分に締め上げられないため、力を入れると箱が雲台上で回転してしまう。それで微調整もできるのだが、動かないことを第一の条件としているはずの箱なのにがっちり止まっていないというのはやはり具合が悪い。ピングラで見た結像通りに撮影されないのでは、何を頼りにすればいいのかわからなくなってしまう。そこで二ケツにして回転を阻止すべく島忠で板付ナット購入。105円。M10だがUNC3/8ネジが入る。ややぐらぐらするが3/8ナットでも大差ない。しかしよく見たら座とナットが平行でなく傾いて溶接されている。比較的平行なのに交換。二ケツができるのも天板の広いGitzoのいいところ。
クリエイトでネガようやく引き取り。パシフィコのカマボコはこんなものか。国立大ホールは再度。両国橋は暗かったわりには立派に映っている。しかし妙な内面反射がまだ消えていない。これは箱ではなくフィルムホルダの縁で反射しているのではないか。フィルム装填時に気をつけるようにしたので、ホコリはおそらく減っている。でもよく見るとちらほら。カットフィルムホルダを使う限り、これ以上は減らせないのだろう。許容できるかとも思うが、ヤフオクにクイックロードの160NCが出ていて迷うところ。
フジヤに行ったらストーンバッグの同じものが1枚だけあったので予備に購入。ベルクロテープ側が切れたときのための用心だが、本体側を2枚重ねにしてみる。日東*商事でLPLの攪拌棒と印画紙をスクイーズするためのワイパー。どちらも前の前の住居の流しの裏に落としてそれっきりだったもの。どちらも100円。日東*商事では毎回必ず値切っているが、これではさすがに値切る気も起きない。