前世代を礼讃する作り手とはいったい何なのか。そうすることでみずからの存在価値がゼロとなることに気づかないのだろうか。いやそれよりも、先行世代に屈託なく帰依していて何ごとかをなす気が起こるのだろうか。模倣以外の何ごとかをできると思えるのか。
ここで前世代といっているのは生年で輪切りにされるような時代区分に基づくものではなく、現時点で世にのさばっているエスタブリッシュ面子のことである。要するに権威だ。権威にお追従しててどうするよ。
祖父や曾祖父の世代を賞揚することはある。いうまでもなく、前世代を否定するための方便として、だ。前世代がそれなりにまともにやってるならそのさらに前世代を葬り去っているはずなので、当然のなりゆきとして手厚く再評価しなけりゃならん。前世代の連中なんぞぶった切る以外のなんの益体もありゃしない。