富士AG印画紙と同じ条件で直後にCGで焼いてみると、感度は同等。ややRに転んでいるが、同じ銘柄の印画紙で乳剤が違う場合に発生するカラーバランスの差とさほど違わない程度だろう。発色性能自体は大きく変わらないのではないか。CGと大差はないだろうとの結論。
両大師開山堂ネガ画面上部にある、ホルダの内面反射と思われるカブリは4枚のネガすべてに出ている。でもこれはこれでいいだろうという気がする。ホコリや傾きのほうがよほどひっかかる。それはなぜかと考えると、反射によるカブリは光学的現象だからだ。
撮影時に、内面反射などに起因する予測不可能な反応がときどき起きる。それは画面内の攪乱要素であるが、引き伸ばし時にネガキャリアの反射が画面外側に発生するのとさほど遠くなく思える。いずれも対象の再現という目的からするとイレギュラーな反応であり、一般に流通する写真であれば失敗と見なされるが、そうした違和感はない。それは、やっていること全体が、対象の忠実な再現というよりも、対象を素材とした光学的な出来事とでもいうべき現象であり、意に反したノイズが混入しても、光学的な出来事の一部としておりこまれるからだろう。一方、化学的なノイズは事故の扱いになる。引き伸ばし環境でも、引き伸ばし機に手を加えることには労を惜しまないが、フィルム現像タンクやプロセッサ、さらにはバットやアーカイヴァルウォッシャーはほったらかし。ケミカルプロセスにはほとんど興味がなく、必要に迫られてやっているだけ。明らかに光学的プロセスに興味が向いている。そのような興味からしても、やはり、なすべきは、写真がかつてそうであった「光学的な出来事」を、他ならぬ写真のうちに現出させることである。