昨日PETボトルに入れた薬品をバットにあける。ついに! 懸案だったカラー印画紙バット現像のテスト。これがうまくいくかどうかで今後の暗室計画全体が大きく左右される。技術的な関門に挑むときにはいつでもわくわくする。そのわりにはずっとあれこれ考えてばっかりで手をつけず、もっとさっさとやりゃいいんだが、この逡巡癖ばっかりはどうにも。13時頃から、液温26℃。ネガは昨日最後に焼いたセッティングのまま。妙に露光時間が短いと思ったらレンズが開放になっていた。今さら変えられないのでそのまま。2s露光しバットに投入後2m攪拌、漂白定着液に移して1m経過後点灯。立派に画が出ている。昨日プロセッサを使って35.0℃設定で焼いた同一条件露光のプリントと比較すると、カラーバランスはほぼ同等、バット現像のほうがやや薄いが現像時間の調整の範囲内。色がくすむといったこともなく、飽和した最高彩度の色の再現はわからないがこのネガからの発色を見る限りではプロセッサによる結果と見劣りしない。やったー。室温バット現像で充分いける。もちろん、全暗黒下で蓄光テープを頼りに動くのは気を遣うし、プロセッサに収まるサイズなら自動処理のほうがずっと楽だ。2分間じーっと待っている必要もない。でも、これでバットを並べて薬品を溶解すれば、自宅で大全紙のプリントが可能だという手応えが得られた。この意味は大きい。レンタル暗室でCP51を使っているときに紙づまりがときどき発生して、そのたびに500円する大全の印画紙と作業時間代がふっとんだことを考えると、あそこの機器管理の悪さのせいであってCP51の問題ではないような気もするが、ローラートランスポートのないバット現像のほうが安全確実という気もする。バットでの大量処理には限界があるが、少ない枚数をていねいに面倒見ていくならやってやれなくはない。今回の成功の要点とは、CP31で六切くらいの小さなテストプリントを焼いた時のフィルター値そのままに、室温バット現像でもほぼ同等の結果が得られると実証できたことだ。小サイズのプリントをプロセッサで焼いて色と露光時間を追い込んでおけば、本番では倍率比から露光時間を割り出せばスタート地点の目星がつく。だから実際にバットで現像する枚数はかなり減らすことができ、省力化できる。実際には補充型でなく、液の疲弊にともない発色と濃度が変わっていくので、テストと同じ条件では焼けない。CP31にはオプションの補充機はあるが、処理液量2リットルでは補充液ではなく原液の追加になり、処理の安定は望めない。CP51は補充型だがノーリツの業務型と違いわずか6リットルでは補充時の変化が大きくて結果の安定性にはどうしても劣る。バット現像も5リットル以上の処理になるだろうから補充は不可能ではないが、処理量をカウントして補充する手続きが面倒なのでなりゆきで発色が変化していくのを露光条件への人力フィードバックで補正したほうがたぶん楽。ただ、それにしても小サイズであたりをつけておけば目安にはなる。
RA-4ケミカルは35.0℃での処理が推奨されているが、それは処理速度優先の大量処理用途に合わせてのことだろう。液温が高く、空気との温度差が大きければ、酸化も進みやすくて蒸散量も多く、液へのダメージが大きいだろうから、本来は室温程度のほうがいいはずだ。バット現像でも35.0℃が標準ということになっているけれど、その高温で45秒という短い処理時間では、バット現像でムラを出さずに処理できる自信はまったくない。しかもセーフライトすらない全暗であり印画紙の移動にもたつくことが多く、さらにムラを緩和する停止液もないのというのに。液温管理のみならず、処理に要求される迅速さを考えると、実用には負荷が大きすぎる。
45秒の処理時間で、終了時の4秒のズレは無視できない結果の不安定をもたらす。しかし120秒での4秒なら1/3程度の影響と見込める。少なくともモノクロではその程度の時間管理でやってきたが、特に支障は感じなかった。バット処理するなら室温で決まりなのではないか。NOVAを使っている人は、よくそんな短時間で液もこぼさずに印画紙を移動できるものだと感心する。
当初はゴム手袋をはめて印画紙を移動させようかと思ったが、それでは漂白定着液が発色現像液に混入してしまうので断念。結局モノクロで使っていた竹のトングをこわごわ使っていたが、途中で定着液のトングを現像液に入れてしまったような気がする。それでもさして影響はなかった。定着液が現像液に微量でも入ると現像液が使えなくなるということになっているのだが、結構平気なのだろうか。それとも間違ってなかったか。特にテストピースの場合、バットのどこに行ったかわからなくなりトングで探し回ったりする。また蓄光テープの影響も無視できず、全暗内でのバット作業の効率化には課題があるが、作業自体を危ぶむような困難ではない。
次に、昭和記念公園の4x5フィルムを入れて、しこしこ削った引き伸ばし機のケラレ対策の確認。充分。内面反射も克服できた。黒ケントで126x101mmの中窓をつくってマスクサイズの確認。やや大きい気もするが1mm単位の加工なのでこれより減らすとフィルムとほぼ同寸になってしまう。フィルムの位置調整の手間もあるしこれでよしとする。ついでに、同じネガから引き伸ばしレンズをRodagon150mmとComponon-S135mmとで焼いてみる。ネガも荒いし細かい画質なんてどうでもいいしで、六切ではほとんど差なんてわからない。マージン量も大差なかった。
そこでマスクのサイズを確定し、新宿ハンズ工房へアクリル加工の発注。さんざん考えあぐねてテストまでしてようやくつくったのだが、こんなに安いんなら迷う前につくっちゃえばよかったか。クリエイトでネガ引き取り。横浜はまずまず。川崎は伸ばしてみないとわからない。新型器はどうもうまくいかない。Sinarでの最初のテストではまずまずの効果が出たのだが、そのネガが行方知れず。ハンズでできあがりを引き取りABS黒の5Φ丸棒とアクリル・塩ビ・ABSの溶剤を購入。アクリルと塩ビって溶着できるんだ。できないものとばかり思っていた。いや、アクリルはアクリル、塩ビは塩ビとしか溶着できないと3年前ハンズ店員から聞いた気がするんだが。