スポッティング(9) ペン

起きたら6時。もう川崎には遅すぎ。空はもやっているが快晴。耐えがたく眠い。様子見ることにし寝る。9時には全国的に雲が出てきてまもなく雲だらけ。撮影は見送り。
ネガのホコリ跡をただ針で突くだけでは消せない。通常のホコリ跡なら消せるのかもしれないが、このネガでは何倍にもふくれあがっていて幅が広いためか、針穴が抜けてしまうのを防げない。何か不透明のものでふさいでやるしかない。何かの小片がネガに乗ってしまった影のようにある程度面積があれば、筆とレタッチングカラーでつぶせる。問題は糸くずの跡。筆では太すぎるのは確認済。そこで思いつく限りの格闘を敢行。
レタッチングカラーを針先につけてやってみるが、粘性が低いためかほとんど定着できない。昔買った中外写真薬品のオペークも、溶きかたによるのだろうがゆるすぎ。油性などもっととろとろしたタール状の塗料を針ですくって乗せる。小さく絞るのが難しい。狙ったところに置けない。針を寝かせてネガとの接触面を広くし、スタンプ用インクなどをつける。これもだめ。細いペンを使う。10年ぶりにロットリングを引っぱり出すか。でもロットリングでは筆先が管なのでよく見えない。着色される部分がじかに見えるほうがいい。サクラカラーのPIGMA005があった。これも12年以上経っているがまだ書ける。今ある文具類のほとんどはかつての勤め先で使っていたのをやめるときに持ってきたもの。特に筆記具は、宛名書き用の油性の各種ペンと赤ペン以外はこの12年ほとんど買っていない。それだけ筆記具を使っていないということだが、使えなくなっているものも多い。インクが残っているのに書けないペンもあるし、蛍光マーカーはインクが蒸発している。そうしたなかちゃんと使えるこのPIGMAは優秀。このペン先をサンドペーパーで削ってとがらせ打ってみるが、それでも太すぎて筆のほうがまし。このタイプのペンは、使うほどペン先が減っていき、露出している部分がなくなったらインクが残っていても使えなくなる。これはすぐ駄目になるだろう。注射器にインクを詰めて針先から抽出する。インスリン注射用の30円くらいの針では太すぎてどうにもならない。0.7mm程度。0.2mmの注射針があるらしいが、ごく微量のインクを出すような制御ができそうには思えない。針を火であぶって熱し、ネガを焦がすのはどうか。さすがにそんなこと怖くてできない。しくじったらネガそのものに穴があく。
万策尽きた。やはり正攻法でやるしかないようだ。ネガを針で突くときできるだけそっと触る程度にして、オレンジマスクに穴が開かないようにする。でも乳剤は剥がれてしまう。こすれば落ちそう。不器用なのだろうか。