もう何回使ったのかわからないウナギのタレをバットに張る。ただし漂白定着は密栓したまま使っていなかったもう一本のボトルを使用。使いこんだほうより着色は少ないが浮遊物は多い。スポッティング部分のプリント。やっぱりだめ。ややグレーに近くはなっているのだが、ほとんど消せていない。フィルムベースが粉を吹くほどつついているにもかかわらず、だ。ネガを光にかざすと修整部分は黒く見えるのに。おそらく、通常のホコリ跡ならきわめて細いために周囲からのフレアや回折でホコリ部分にも多少は濃度が乗るのに対し、これはホコリ跡が大きすぎてそのような濃度上昇が届かず、スヌケに近くなっているということだろう。ホコリ跡の光源側には濃度上昇が見られ、かなり反射成分が多いとうかがわせる。
どうする。あきらめてこのまま焼くか。でもスポッティングで消せないほどの濃くて広い面積の傷なのだから当然目立つ。これを放置しておいていいものか。一昨年の個展はそのまま出したわけだけれど、やっぱり不満が残った。当初やっていたように染料を使うか。それなら確実につぶせる。ただ、筆を使うためホコリ跡にぴったり合わせた精緻な修整はできないので、一回り大きくつぶしてプリントで再修整することになる。それとも鉛筆か。確立されている手法としては鉛筆なのだろうし、ほぼホコリ跡通りの修正が可能だから、プリントでの再スポッティングの手間は染料よりは楽だろう。ただし使うごとに芯を研がなければならない。この作業練度では、手間や時間だけでなく仕上がりから考えても、プリント上でのスポッティングの面積は少ないに越したことはない。ここは鉛筆で行くべきか。0.2mmのシャーペンと修整用ニスが必要。
品川埠頭のネガを八切相当でプリント。予想はしていたが濃くてコントラストが強い。覆い焼きでもやってみるか。もうちょっとオレンジが出るかと思ったのだが。今回はマゼンタからオレンジにかけての色相がほとんどない。黄も少ない。地球*釜があればよかったんだが。やむなし。
クイックロードホルダのフレームは四角くておもしろみに欠ける。しかもノッチも出ず、カットフィルムホルダならばつくフィルム挿入口の切り欠きもないので、現像時のクリップ痕が隠れると、4x5フィルムの特徴がほとんどなくなってしまう。印字された銘柄などの文字情報が黒フチ部分に出る程度。しかしフィルムの平坦度およびホコリの少なさとのトレードオフである。
新しくつくったネガマスクの開口部が狭すぎたというのは勘違いで、伸ばしレンズが135mmの場合にはぴったりだった。150mmに替えると厳しいかもしれない。特に低倍率時。150mmのRodagonのほうが135mmのComponon-Sより結像性能はたぶんいいのでこっちを使うつもりだったのだが、考えてみればネガが大甘なのでレンズの差なんか出やしない。
こんなのだらだら書いてる暇があったら作業やれとも思わなくもないが、記述しながら考えて結論を出すというしくみになっているようで、もっと追い込まれるまではこの調子だろう。
シャーペンから針を抜きあたりまえに芯をつめて紙ヤスリで研ぐ。ネガに書いてみると、ベース面も乳剤面も乗ることは乗る。でもこすれば当然ながら消える。乳剤側のほうが残るような。やはりニスは必要。粒子も粗く、これで針なみの細かい修整は難しい。
いよいよFujicolor Crystal Archive Super Cを使ってみる。六切。FujifilmUSAの印画紙を個人輸入する日本人なんてそうそういないだろうが、誰かの参考のために気がついたことを記しておく。箱を封じたビニールテープが両側とも剥がれていてげんなりする。それも2箱。日本じゃありえん。しかも同じGrossyを2箱買っているのに乳剤番号がそろっていないあたりがアメリカらしい。そのわりには大全紙は箱もラベルも違うのに乳剤番号は同じだったりする。富士フイルムのコーポレートカラーだとかいう緑だが、日本製は箱の全面に使われているのに、USA製はラベルのごく一部にあしらってあるだけ。でもこっちのほうがすっきりしてていい。企業色は全世界共通なのだろう。テストピースを露光して待つこと90秒。いくぶんどきどきしながら点灯してみると、色が出た! あたりまえか。でもこういう細かいわくわくどきどきはけっこうたいせつ。まあこれで使えなかったら10万が吹っ飛ぶんだからどきどきもしようってもの。日本製と比較して、ベースの厚みの差はわからない程度。白さも同等。裏側の刻印はスクリプト体を使ったりとずいぶん装飾的。階調だが、同じ露光条件で焼いた日本製CLPPRO2 CG-Pと比較すると感度は高い。今ある箱同士の比較では青からシアン寄りだが、同じ銘柄でも乳剤の違いでこのくらいの偏りは出るかもしれない。特性曲線で表されるような階調の差については、現時点ではほとんどわからない。おそらくこの先もずっとわからないままだろう。この用途に対しては充分に実用になるということだ。
以前焼いたカラー印画紙のベースが変色してきている。漂白定着か水洗が充分でなかったのだろう。定着不足のモノクロと似たような具合。カラーでは漂白定着液は補充するか発色現像液と同時に使い捨てがおそらく一般的で、モノクロのように使い回すということはあまりなさそうなので、漂白定着液の疲弊はあまり問題にならない。
ネガマスクは150mmの六切でもうまいぐあいにおさまった。実は同一カットのネガの絞り込みもまだ。さすがにいい加減尻に火がついてきた。