引き伸ばし機の平行調整。Parallel alignment toolの問題は、台板とレンズ面の平行、台板とネガキャリアの平行は調べられるが、レンズ面とネガキャリアとの平行は直接には出せないこと。だが、ここが最も重要なのである。ネガに対してレンズがわずかでも傾いていたらピントが部分的にしか合わなくなる。いわゆる片ボケである。だがそれらが平行であれば、ある程度の引き伸ばし倍率なら、引き伸ばしヘッド全体が台板に対して多少傾いていてもピントはさほど狂わない。相似が狂い、フィルムの長方形が台形になったりするだけだ。カメラと撮影対象との平行の関係と同じことだ。対象は傾いていてもある程度撮影距離があればだいたい全面にピントが合うが、カメラの中でフィルムとレンズの平行がわずかでもずれると片ボケを起こす。なのにレンズを動かしてしまった。LPL745xでは、レンズ面はネジの調整で傾斜角を簡単に調整できるが、ヘッド全体の調整がわれわれには難しい。平行がすぐに狂うことを前提に楽に調整できるようにしてあるBesselerやOmegaと違って、出荷時のままいじらないようにできている。メーカーが調整してあるレンズボード取付部分の平行はやたらに動かさないほうがいい。のだが、もはや手遅れ。ネガキャリアとレンズ面との平行を元に戻せなくなってしまった。ネガキャリアの傾きは直せないので、レンズ面も同等に傾けてやってだいたいのところを出すしかない。それにParallel alignment tool自体の精度があんまり信用できない。まあ頓狂ネガだしある程度絞れば問題はないのだが、それを言い出したら全部ぐずぐずになってしまう。
名古屋港は断念。今回赤が乏しいのでぜひ入れたかったところだが、再撮影はさすがに無理。この期に及んでそんな遠出は無謀すぎ。今ある雲入りのネガを使うことも考えたが、色味を増やすためにこれで妥協するよりも、次に納得のいくものを出したほうがいい。
さらに毒水でテストプリント。
面種の違いが気になって、Crystal Archive Super Cのマットとラスター、Fujicolor Crystal Archive Super Pのラスターも試してみる。それどころじゃないはずなんだがなあ。それよりほんとに実況になってきた。暗室が30℃、雨降りで蒸すのでときどき抜け出さないと集中力が維持できないのだ。
ラスターは明らかに向かない。古くさい人物写真に見える。しかしそれはラスターの面種の人物写真を何度も見てきたことから結びつけてしまうだけで、まったく違う文脈で効果的に使える余地はあるように思う。マットも、うーん。グロッシーがこの写真には向くと思うし、いちばん好きだ。それは印刷用紙も同じで、好きなのはミラーコート紙。ラフ目の上質紙はいいと思わない。なぜか。光沢紙のほうが発色がよく、最大濃度が上がるから。まったく効果優先の発想であり、写真印画紙でも同じなのだが、そうした理由が先にあり、しかる後に好きになった気がする。ただ、光沢紙だと映り込みが避けられず、特に展示用途の大型プリントの場合には光源の映り込みが煩わしい。今回もマット紙と迷ったのだが、結局発色とトーンの冴えを選んだのだろう。
28℃90s。印画紙に汚れが乗るようになってきた。濡れている状態で拭けばとれるが、さすがに限界か。
スポッティング。ニス引きはどうにも抵抗がある。ネガ全面に塗り拡げるものらしいが、そんなことしたらホコリまみれになるに決まっている。でも修整箇所付近だけに塗ったのでは周辺と色が違ってくるだろう。しかしニスなしではネガに鉛筆が乗ってくれない。そこで思いついた。針と鉛筆の合わせ技。ネガをベース面から針で突いてデコボコしたところに鉛筆粉をすりこめばいいじゃないか。この野郎喰らいやがれとばかりに塗りつける。プリントすると、周囲が白く飛ぶほど露光不足なのに、ホコリ部分は黒く抜けている。でも白っぽくなっている部分もあるので、もっと濃くすればとやってみるが、周囲が白くなっただけ。こいつどれだけしぶといんだ。例の6本足なみ。この分ではニス引きして鉛筆でつぶしてもきかないんじゃなかろうか。修整箇所だけ鉛筆粉を盛ってニスで固めるか。それならニスに染料を混ぜて針で置くほうが早いんじゃないか。
もう写真やってるんだかなんだかよくわからなくなってきた。