さらに使い回しの薬品でテストしてみるが、さすがにへたっていて濃度が上がらない。それではと2007年3月11日開栓のKodak純正RAリプレニッシャーRTを調合してみる。パートbがやたら黒っぽいのだがこんな色だったっけ。プロセッサと一緒にもらった古い開封済みのもこんな色で死んでいたような。さらに希釈過程でパートbだかcを加えると色が急変するはずなのだが何も起こらずダメっぽい。無精して温水を使わず室温の水を使ったせいだろうか。処理してみるとやはり能力なし。やむなくオリエンタルの互換薬品の10L分をあける。まともな薬品はひさびさに使う。新液がこんなに透明だったとは。でも漂白定着はあいかわらずの使い回し。
ちょっと考えると、発色現像液と漂白定着液の処理能力はバランスしていて、片方の処理能力が上限に来たら他方も限界と見るのが妥当なように思える。同じサイクルで交換する薬品の場合、どちらかがより大きな処理能力を持っていても、同時に捨てられるならば処理能力の余裕はまったく無駄だからだ。だが、今使っているのは補充タイプの薬品である。性能を合わせる必要はない。補充とはいえ無限に補充し続けて使い続けられるわけではなく、定期的に全量を交換することになっている。ラボでは薬品交換は同じタイミングで行われることが多いだろうから、そこで発色現像液と漂白定着液の限界が同等になるよう設計されていると考えるのが妥当だろう。
しかし、この薬品を流用して卓上自現機で補充なく使っている場合、ちょっと事情が違うのではないか。漂白定着液のほうが寿命が長いような気がするのだ。確認の方法がないので正確なところはわからず、実際には処理可能量を超えているのかもしれないけれど、見た限りでは銀が残っている様子はない。発色現像液の補充は、母液が疲弊していく分を補うべく、やや強めの補充液を入れて能力を元の水準に引き戻すわけだが、漂白定着の場合には、少なくともRA-4の場合、同じ薬液をただ足して古い薬液を追い出すだけである。新液が疲弊し銀を含んだ処理液と混合されながら循環するので、漂白定着液の性能は全交換するまで下がりっぱなしである。そうやって酷使しても充分な性能を確保するように設計されているわけだ。そして能力が限界に近づいた頃、やはり交換時期にさしかかった発色現像液とともに破棄される。だから、補充方式ではなく、卓上自現機で使い捨てにして発色現像液の限界に合わせて破棄する場合、漂白定着には処理能力が残っていると考えていいのではないだろうか。と、薬品の内実はまったく知らずに運用方法から考えた根拠の薄い推理だけれど、現に発色現像液がへたって色が出なくても漂白定着はされているようなので、そう的外れでもなさそうな気がする。
モノクロ感材の手現像では、一般に、現像液は使い捨てで、1日使ったら翌日は新しくする。まあ2、3日使うひともいるだろうし、それはかくいう自分だったりするのだが、とにかく基本的にはそう繰り返し使うものではない。一方、定着液はそうそう交換しない、この頃はあまり使わないけれど、ハイポ計という単純な目安がかつてはあって、それを定着液に浮かべて沈み具合で比重を調べ、どの程度銀を含んで使いこまれているかを調べるということをやっていたし、2浴定着というのも、限界まで定着液を繰り返し使うための方便である。つまり言いたいのは、カラー印画紙現像でも、同様に、漂白現像液に較べて漂白定着液は使いまわしがきくのではないかということ。でも単なる経験からの判断であって、これを鵜呑みにして数年後にやっぱり定着不足だったとか言われても責任は負えないのであしからず。
さて作業。今さら気づいたんだが自作ネガキャリアのガラスに色がついている。緑がかった典型的ガラス色。スヌケのネガキャリアを使う場合より1か2程度はM寄りに転んでいそうだ。LPL純正の上面のみアンチニュートンガラスのネガキャリアと比較してみたが大差なかった。
LPL754x系のカラーフィルターモジュールのフィルターダイヤルがガタやバックラッシュがなくなめらかに回転すると述べたが、0の直前のところだけストッパーに乗っかるような感触がある。ただ、それに引っぱられてダイヤルが動いてしまうほどではない。OmegaSuperChromegaDのガタを考えればまったく問題にならない。目盛に対して指針がやや浮いているため、見る角度によって1くらいはフィルター値表示が違ってくる。小倍率と大倍率とではヘッドの高さが異なるのでおのずとそのようになる。これはやむを得まい。どうしても避けたければ、ヘッドの高さにかかわらずつねに正面からフィルター値を見るようにするしかない。CとYチャンネルはフィルター値が0から200までなのだが、Mのみ170まで。CCフィルターやオフセットインキで考えるとマゼンタよりイエローのほうが濃度が低いと思うのだが、ダイクロイックフィルターは濃度でなく不要成分を反射させる反射率の問題なのでまた事情が違うのだろう。いずれにせよ、フィルター値200なんて通常のネガプリント用途ではまず使わない。昔レンタル暗室でためしにフィルター値を上げていったら、途中で簡単に飽和したような記憶がある。Durstもどれかひとつだけ最大値が低かったのだが、Mではなかったような。LuckyQE45colorなど全カラー製品はすべて200まで。とはいってもだいぶラインナップが減る様子。