品川のネガ、あった。長巻きだと思っていたがスリーブで、紙袋に入っていた。
一般にカラーネガからのプリントではカラーフィルターの補正値をC0M20Y20あたりからはじめるのが通例になっている。マゼンタとイエローで調整し、シアンは通常いじらない。マゼンタチャンネルではマゼンタとその補色であるグリーンとのバランスをとる。これはわりあい楽。どちらに転んでも不自然なので、どう直せばいいかすぐに判断できる。イエローはその補色であるブルーとのバランス。これはちょっと手間どる。朝と夕方の直射日光や電球の光は黄色いし、日陰では天空光で青くなるのをわれわれは見慣れている。知覚的に補正しているから日頃は色の転びをあまり意識しないけれど、条件によっては補正がキャンセルされて見えるし、そうした色カブリをそのまま提示する写真も多いから、青くかぶったり黄色がかっている画像は違和感を感じさせない。だから転んでいるかどうかの見きわめがつけにくいし、転んでいてもそれでよしとする判断もありうる。
さて、このネガは赤カブリが多いのだが、現行器のネガはC0M20Y20あたりで自然に焼けることが多かった。国産の富士印画紙では。ところがFujiUSA製の印画紙が青が強くて、これを補正するにはイエロー寄りにすればよく、そのためにネガなのでイエローを減らすのだが、Y20スタートだと0にしてもまだ足りないことがしばしば。Cを動かさざるを得なくなる。なのでC10M30Y30くらいからはじめるのがいいのではないか。いつも同じ条件からはじめたほうがいい。ただ一方でパラメータは単純化するに限る。しかも、この印画紙をずっと使うかどうかも不確定。何しろ紙が薄い。コントラストも高い。個人輸入するならFujiUSAもKodakも大差ない。ちょっと考えどころ。
FujiUSAの微粒面の印画紙は光沢面よりローラーにへばりつきやすいのか、テストピースが内部で詰まる事故が頻発する。幅3cmくらいはあったほうがいい。
FujiUSA製のFujicolor Crystal Archiveはすべて「Super Type C」となっている。これはいわゆるType BとかType Cと言われる際のType Cなのだろうか。おおざっぱに言ってType Bとはコダクロームのように色素を乳剤中に含有しておらず、現像工程で薬液中から色素が供給される形式、つまり外式、Type Cは色素を乳剤中に含有する内式と理解しているのだが、内式がスーパーになるというのはどういうことなのだろうか。ネットで探しても当然ながら日本語の情報はないが英語の情報も乏しい。グローバルサイトであるところのhttp://www.fujifilm.com/にもカラー印画紙についての記述がほとんどなく、http://www.fujifilm.com/photokina2008/list/くらいだというのがどうにもお粗末。でもhttp://www.fujifilmusa.com/というのがある。こっちはだいぶしっかりしている。Fujicolor Crystal Archiveの情報もちゃんとある。
http://www.fujifilmusa.com/products/photofinishing/paper_lab_products/color_papers_printing_materials/super_type_C/index.html
ちら見した限りでは「Super Type C」への言及はなさそうだが、RA-4プロセスであることは間違いないので、スーパーもへったくれもないだろうと思うのだがどうなのか。Type Cプリントの定義の問題なんだろうか。それとも一般的にいうところのType Cプリントのことではなく、社内呼称なんだろうか。国産のCGはType IIということになっているが、それと似たようなもんか。そのうちちゃんと読も。いや、そこらにうなってる未読の本と違ってほんとに読む。損益に直結するから。
藤本写真工業の卓上自現機の元修理担当者が清掃にサンポールを使っていたという話を聞いて、おそるおそる発色現像槽に使ってみる。このためにサンポールを初めて購入。500mlで180円くらい。まず試しに商品本来の用途で使ってみると、驚くほど簡単にきれいになる。今までの労苦はなんだったんだと思えるほど。塩酸が9.5%入っているらしいが、これと界面活性剤でほとんどだろう。そして本命へ。濃度がわからず、タイルには100mlに2押しとあるので、1.8L分で36押し。しばらく回しておいたら、槽もローラーまわりも新品かというほどになった。スポンジやらでごしごしやる必要なし。ただアルカリ性である発色現像液による付着物だから塩酸で分解されるわけで、酸性の漂白定着液のほうはこうはいかないかもしれない。次にやってみるけれど。