かつての勤め先に入社した初日の歓迎会のあいさつで、モットーは手段のためには目的を選ばず、と発言したところその説明を求められ、満足に答えられず吊し上げられた。しかし、今なら答えられる。写真器写真機などと呼べるほど立派なものではないという写真を得るための手段を最適に機能させることを優先し、最終的に得られる写真は二の次とする、つまり写真技術に写真内容を従属させる、そのような道具-目的連関の顛倒を身をもって行うということだ。
だから最終的な写真は結果であってそれのみが目指されているわけではない。結果である写真を含めたこの過程の全体が追求される。しかしその過程そのものは提示できない。提示されうるのは、結果としての写真と、過程を逐次記述したこの撮影日誌のみである。