商標出願4件目と意匠出願2件分の書類を作成。今後出願予定の意匠は全部で6本以上。通る見込みも薄いし、こんなの全部特許事務所に依頼なんてしてられない。弁理士につくってもらった2件分の出願書類をちゃっかり使い回してこしらえる。土台があるとだいぶ楽。まあ通るかどうかわからんが、これで拒絶査定でも他人がとれないことが確定できる。
自分で出願書類を作成することにはメリットもある。意匠出願は特許や商標とちがって、出願時点で内容が整っていれば、補正の指示を受けずに一発で通ることが多いという。むろん拒絶査定されることもあるが、それはもともと無理筋のもの。
なので、弁理士に依頼する場合には、なるべく一発で通して追加の補正費用がかからないよう、特段の必要がなければ余計な記載や図は外して、安全牌で通す方針となる。一方自分で出願する分には補正したって手間だけで費用はかからないので、拒絶査定を怖れることなく、きわどい筋を攻めることができる。不具合があれば審査官に直してもらえばいい。2、3度戻されたって平気。なのでわりあい気楽に出せて、思い通りに作成できる。むろん金に糸目をつけないなら全部弁理士にまかせた方がずっと楽だし確実だけれど、こういう手続嫌いじゃない。意匠出願2件を弁理士に依頼するのには費用がかかったが、そのおかげで上記の事情もわかったのだから、それはそれで意味があった。
INPIT相談部にFAXで送って、形式上は問題なしとの回答。物品の妥当性が知りたいが、それは予想通り相談部では答えられず特許庁の担当部署に聞く必要がある。個別の内容については、他の出願者との差が出るから答えられないが、一般的な問題として答えられるとのこと。FAXも受け付けないという。17時を回ってしまったので来週。
商標の方も送ったのだが返事なし。相談部は20時までやってるはずなんだが。

朝から川口市役所へ。休み明けなので混んでるかと思いきや、今まで見たことないほど空いている。川口市は面積が広くて人口も多いので、いつもは窓口が混むのだが、月曜朝は勤め人が社内の用務で多忙なのだろうか。
住基カード電子証明書が失効していて住所も変更されてないと告げると、住基カードの住所変更を行うと、そこに格納されている電子証明書は失効扱いになり、それを有効とするためには新たに電子証明書を交付してもらう必要があるという。それくらい住所変更の手続きでやってくれよ。中身の確認もしてないのだろうか。500円払って新しい住所で交付を受ける。
お次はPDFに電子署名。そして法務省のシステムに送付。ステータスが「審査中」なのを確認してOK。さいたま地方法務局に電話して、提出書類の日付や手続きの確認。すぐ近所の川口出張所では法人登記申請はできず、法務局本局まで行く必要がある。書類4通を作成しプリントアウト。
書類の中身はというと、設立登記申請書、資本金の払込証明書、就任承諾書、本店所在地決定書。
承諾書は、法人としての株式会社が個人である私に代表取締役就任を依頼して、私が承諾したという内容。どっちも本体は一緒。本店所在地決定書も「某月某日、株式会社○○創立事務所において発起人が出席し、次のように本店所在地を決定した」。役所の書類である。
もう1通、OCRで読み込まれる書類もあるが、文字データをFDかCD-Rに入れて提出してもよい。このデータフォーマットを尋ねたのだが、把握していない様子。Wordファイルではなくテキストファイルで、とのことなので改行コードと文字コードを聞くと要領を得ない。法務省サイトをよくよく調べるとシフトJISとあるが
改行コードの指定はない。CRLFで保存した数KB程度のテキストファイルを、CD-RをひっぱりだしてDOSフォーマットで焼く。いまどきFDとかCD-Rとか言ってるところがさすが官庁である。
さて川口公証役場へ。印鑑証明と空のCD-Rを渡し数分待っていたら紙の定款に認証がついたものが綴じられて出てくる。面前認証が法的に義務づけられていて、最終段階では公証人と直接会って認証を受ける、とどこかで読んだのだが、そんなものはかけらもなかった。まったくの形式でしかないとはいえ、これでいいのだろうか。と疑問を残しつつ、5万と紙の定款2通の代金2円を支払って受け取る。
次は銀行に行き、資本金の払込。払込証明書にある金額が銀行口座に入金された証明が必要なので、通帳にそれを記帳させるための作業。
ネット上には、別の口座から振り込まないと駄目、とある。ところが法務局に確認すると、自分の口座から引き出して、それをその場で入金してもOKという。払込以前の通帳の記録は見ないとのこと。法務局によって対応がちがうのだろうか。税務署によって、あるいは税務署員によって税務処理についての見解がちがうことはあるが。そこで、銀行で出金申込書と入金申込書を書き、窓口で「会社の登記で通帳に記録が必要なので、現金はいらないから手続だけやってください」と告げると、行員は心得た様子でさっと処理してくれる。百均で5円コピーして一丁上がり。
そして、いざさいたま地方法務局へ。閑散。土地の登記と会社の登記関係と供託くらいしかやることないし、あんなでかい建物が必要とは思えない。収入印紙を15万円分購入。印紙はたったの2枚。こんな吹けば飛ぶような、いや吹けば確実に飛ぶ切手サイズの紙が15万。書類を出してその場で確認してもらい、綴じてもらって、捺印の場所を指示してもらってぽんぽんついていく。割り印も、役所なんで捨て印も遠慮なく押す。提出。晴れ晴れ。
帰って銀行通帳がないのに気づく。百均で回収して無事完了。

頭がシングルタスク設計なので、一つの課題を処理しようとするとそれにかかりっきりになる仕様である。火曜日にやっとエアコンを仕事場に設置したが、機種・購入店・設置業者を調べあげてようやくここまでこぎ着けた。そのかん2週間。バカか。風邪と腰痛で半下半身不随だったとはいえ。もう少し小型のをあと2台つける必要がある。モデルチェンジの時期で旧製品は値動きが激しく、いつまで在庫があるかもわからず、選択が難しい。気が遠くなる。
さて後回しにしていた法人登記にようやくとりかかる。夏頃調べたのだが、移転先になかなか入居できず、他にも事情があって登記できなかったため、登記が必要な時期になっても後回しにしていた。しかし昨日一気に調べあげて定款をまとめる。
行政書士に頼めば定款くらいつくってくれるし、そういったサイトに行くと、登記手続きは自分でもできるが行政書士に頼んだ方が安い、と必ず書いてある。
株式会社の設立には、定款認証に約5万、登録免許税が15万かかる。これは公定費用であり、最低限必要な出費である。素人が自分で書類を作成し、定款認証を行って法務局に提出すると、さらに印紙税4万がかかる。ところが、行政書士が電子認証を行うとこの印紙税が免除される。電子認証は素人でもできるが、電子証明書やそれを読み出すICカードリーダ等が必要で、それらに5、6万かかり、手間も時間もかかるから、プロに頼んだ方がいいですよ、というわけだ。
特許庁の出願と同じである。士業者たちの既得権益を残すためとしか思えないよくわからない制度。特許庁に提出する書類は、枚数にもよるが電子化手数料2,000円ちょっととられるだけなのに、法人登記なんてそうそうしょっちゅう行うものでもないから、ここぞとばかりふんだくるのだろう。
それだけ、書類作成自体は誰でもできる簡単な作業だということである。それなりに調べる必要はあるが、専門的な訓練が必要というものではない。むろん定款の内容を完全に理解するのは容易ではないが、定款を作成すること自体はたやすい。定型化していて変数部分を変更すればいいだけなので、商標出願より単純である。雛形はそこらじゅうに転がってるし、必要事項を入力すれば無料でPDFを作成してくれるサイトもある。定款等の書類作成で金払って専門家に依頼する必要は、よほど特殊な事業形態でもない限りはなさそう。だからこそ、認証の方でハードルをあげてあるわけだ。
では認証とは何か。公証役場というものが主要駅前などにある。要は書類にお墨付きを与えてくれる公的機関である。ここに行って書類を提出すると、問題ないですよ、と認証してくれる。それだけ。書類作成すらしない。これで、株式会社設立のための定款認証の場合には5万ちょっととるのである。
公証役場で認証を与えるのは、元検察官や元裁判官。要するに彼らの天下りだか天滑りだかの受入先を、法務官公庁の一部として確保してあるわけだ。われわれはこうやってお上からさまざまにむしりとられるようになっている。そのように設立に費用がかかるから、株式会社はそれなりに信用があると見なされている、ということもあるわけだけれど……。
で、その認証を書面でやってもらうと、印紙税として電子認証より4万余計にかかるのである。一方こちらは、電子出願に必要な環境は、商標出願のためにだいたいそろえてあるので、印紙税を負担せずに申請できる。ただ手間はかかるわけで、7,000円くらいでその手間を代行してくれるんだったらやってもらった方がいいかとも考えた。でも定款は会社の法的根幹だし、その内容は把握しておくべきだ、会社設立なんてそうそうしないだろうし、この機会に経験しておいてよかろう、それにこの程度の手続くらいできなくてどうする、と思い、結局自分でやることにした。
ただし、これは電子証明書ICカードリーダなどが一通りそろっているからやれるのであって、すでに準備しているのでないなら、e-taxによる税務申告などそれらの別の使い道がない限りは、このためにわざわざ調達するのは無駄というべきだろう。行政諸氏が懸命に説くとおり、彼らに任せた方が安上がりで時間の節約にもなるのは確かである。
そこでさっそく駅前の公証役場に定款のプリントアウトを届けると、1時間程度で「特に問題ありません」との回答と手続案内等がFAXで送られてくる。
昨日注文した代表印と銀行印と角印も届いた。ところが、個人の印鑑証明をとろうと印鑑登録証を探すが出てこない。引越後、先月中頃に使ったはずで、そこらにあるに決まってるのだが、200円で再発行できるので、探す時間を200円で買う。市役所がほんの2ブロック先にあるのでこういう手続が楽でいい。印鑑証明書も取得して、これで準備万端整った。今日中に認証を終えられる。
で、法務省の登記・供託オンライン申請システムに登録し、いざPDFに電子署名、と思ったら電子証明書のパスワードが弾かれる。おかしいなと何度も行うが駄目。ICカードリーダが認識されていないらしい。そのうちキーボードもきかなくなり、他のUSBデバイスも認識されなくなった。どのポートも同様。でもワイヤレスマウスは生きていて、USB接続のプリンタからはなぜかプリントもできる。ICカードリーダが動作しないとどうにもならないので、OS再インストールを試みるが、キーボードがつながっていないので起動ドライブに新規インストールができず、データドライブにインストール。そのまま放っておいたら、とうとうディスプレイも表示されなくなり、マウスも死んだ。
他2台はMacのため申請用ソフトを使えない。復旧に終日費やす。法務省オンラインは平日日中しか稼働しない三流官庁クオリティなので週明けまで何もできない。特許庁は24時間対応の働き者なのに。
電子証明書はというと、パスワードを一定回数以上まちがえた扱いになっていて失効している。ロック解除にはやはり週明けに市役所に行かなきゃならない。しかも手続きしたはずの住所変更も反映されてない。あっちもこっちも糞役所ぶり全開である。
そんなこんなで、1日で終わらせるはずが、来週、しかも来月にずれ込んでしまった。パソコンの不調なんていう伏兵は思いもよらなかった。見込み通りにはなかなかいかないもの。

田端から自転車で、だいぶ遠回りして葛飾区四つ木へ。
アクリルパイプを吟味。撮影機材なのである。ひさびさの。塩ビパイプはかつて写真器の本体としてさんざん使ったが、アクリルは板材を写真器や引き伸ばし機の一部に使った程度。今回はまったく別の用途。しかも相当へんてこりんな用途。
大学の寮で、たしか蒸し器がないので鍋を適当に組み合わせて蒸し調理をしていたら、それを見た寮生に、こんな変なことをやるのはおまえにちがいないと思った、と言われた。むしろ、「変なことをやる」こそが私の本領そのものである。常人から見たところの「変なこと」を、彼らには理解されがたい目的と理由と合理性にもとづいてやるのが。
その根っからの「変人」さが、ここに来てようやく社会的有効性を獲得しそうである。年が変わる前に実現にこぎつけたいものだ。いや歳が変わる前に。

ついに意匠出願も2件完了。
当初は商標のように自分でやるつもりだった。意匠公報を見ると、文章はほんの400字とかその程度、あとは作図だけ。正投影図で正面図・背面図・左側面図・右側面図・平面図・底面図を描けばよい。あとせいぜい等軸測投影。中学校の技術の授業で習う程度の知識で処理できる。
たしかに出願書類だけ見ると特許より簡単そうで、自分でできそうに思えるのだが、いざ着手してみると、物品名をどうするかとか、関連意匠の位置づけ、部分意匠の扱いなど、判断に困る部分が随所にある。それなりに知識がないと通るものも通らなくなる。商標の時のように時間をかけて調べて、特許庁職員に直接聞いたりすれば、素人にも出願可能だろうが、商標より公開情報が少ないし、より難解。何しろ前提知識に乏しいので、尋ねるにも尋ねようがない。
特許会館で無料弁理士相談を受けるという手もあるが、1回30分まで。商標なら電話で質問できるけれど、商標だと図を見せなければならず、伝わるように説明しようとすると対面でなければ埒があかない。結局いちいち霞ヶ関まで行くこととなる。しかも毎回当番弁理士が変わるので、ゼロから説明しなければならず、それでかなりの時間を使ってしまい、年配の弁理士がIPDLの検索なぞはじめるといらいらするほど遅くて、ろくに調べられないうちに時間切れ。たいへん効率が悪い。相手の弁理士が有能かどうか、意匠登録の専門知識を有しているかどうかも当日会ってみるまでわからない。その上、所詮は無料なので、責任ある回答など望むべくもない。
結局、特許出願をやっていただいた弁理士に依頼した。安くはないが、正規料金よりはだいぶ割り引いてくれた。9月中頃から相談していたものの、引越などもあり実際の作業は今週月曜午前10時きっかりに草案を送付して今日出願が終わった。図はもちろんすべて自分で作成。いろいろ質問すると、弁理士も困ったようで、かなり時間がかかった様子。よくある既製品に目先の変わったデザインをかぶせてみましたよ、といったレベルではなく、まったく前例のない物品の意匠なので、判断も難しいだろうと窺い知れる。しかし、わからないことがあったとしても、調べ方や解決策を知っているのがプロたるもの。1件にまとめようとしたが弁理士のアドヴァイスで安全策をとり2件に分けた。やはり餅は餅屋。結果はこれからだけれど。

この日あたり、WIPOから国際書留。もう応答が来たか、と思ったが、期限が迫っててそろそろ返事しないと失効するよ、という注意喚起だった。いれちがい。ジュネーヴの消印は29 10.13-20となっている。