[機材・感材][暗室]

寝たきりながらもプリント。もらったKodakのSupra8x10は使い切りFujiのCGに。RA-4ケミカルは補充なしの2Lで8x10印画紙30枚が処理できるということになっている。露光調性をしながらなら84枚。30枚だって薬品のへたりはあるのだからフィルター値や標準露光秒数は変わっていくはずだが、さほど変動が大きくない範囲ということだろう。84枚というのは、このへんを越えると最大濃度が出なくなるとか薬品の性能が限界に達しているというあたりか。卓上自現機に向くとされる「KodakエクタカラーRA発色現像補充液RT」を希釈して「Kodakエクタカラープライム発色現像補充スターター」を添加した発色現像液と、「KodakエクタカラーRA漂白・定着補充液」を希釈した漂白定着液を使用する場合、2Lずつで計1,400円程度かかる。薬液をつくった以上はとにかく意地でも液の限界まで使い込まなきゃならん。本来は希釈後数時間で使えなくなるということになっているのだが、実用上はプロセッサーを循環させておけば3日くらいはもつので、まあ4、50枚は焼かないと。
と例のごとく経済観念を発揮していたら、こういうのを発見。Oriental製のRA-4互換ケミカル。スターターを除き一回あたり640円ですむ。半額ということばに弱い人間にはうってつけ。スターターはリストにないが800円くらいであるらしい。しかし互換なんだからKodakのスターターも使えるだろう。いずれにせよスターターなんて少ししか使わないし安いもの。
「オリエンタルカラーBAP-1R」は「10L用X4入り 1液X4」となっていて、Kodakのようにパートabcの3液に分かれているのではなく1液が4本で40L用とのこと。1液ではあるが性能としては純正の互換。一度開封すると空気で酸化するので使わなかった残りは蛇腹式のボトルで空気を抜いて密栓するよう指示されているのだが、Kodakのように3液にも分かれていると、数が多くなって混乱しそうだしそれぞれが少量だしでその気にならない。しかし1液ならやってもいい。希釈時の分量計測の手間も減るし希釈精度も上がる。いいことずくめ。ただ、Kodakが3液に分けているのにはなんらかの理由があるはずで、液の耐久性の差も考えられる。Kodak開封後の有効期間を約6週間としており、Orientalでは4週間だという。これはあくまで公称の数値だし、実際にこの2週間の差が有意の差となるのかは実験してみなければわからないが、実験してもわれわれの条件ではわからないような気がする。Kodak純正液は2、3カ月で使い切るようにというのがネットなどでの一般的な情報のようなので、Orientalはちょっと早めに考えておくくらいで充分だろう。1カ月で5回分は使い切れない。
もしOrientalの開封後寿命が短いとしても、充分に意味がある。バットでの大伸ばしで薬品代が抑えられるからだ。大全紙バットでは5Lや10Lは一回で軽く使う。これで7,000円もかかるんじゃたまらんなあと思っていたのだが、3,200円ですむ。これならば費用面でもレンタル暗室に対して有利になる。薬品に7,000円かかって、バット現像なので酸化が早いため1日くらいしか使えず、廃液処理代もかかるのであれば、1万払ってレンタル暗室借りたほうがいいかという気になるのだが、これが3,000円程度に抑えられるならば気分としてはまるで違う。
「オリエンタルカラーBAP-2R」はKodak同様2液を混合するタイプ。ここを見ると漂白定着液のほうが開封後の劣化が早いらしい。漂白定着液は保存性も含めてKodak同等と考えていいのだろう。Kodakの処方だと、10L使用の場合は無駄が出ないのだが、2L作成ではパートaを284ml、パートbを400mlとなっており、b液をたくさん使うにもかかわらず元の液量がほぼいっしょなので、b液が足りなくなる。Orientalから送ってもらったデータシートには小分けにした場合の分量は書かれていないが、電話で聞いた限りでは特に比率を変える必要はなさそう。無駄なく使い切れるようだ。
なお、RA-4プライムは以前は量販店でも売られていたらしいのだが、現在はパーソナルユース向けの市販はされていないようだ。オリエンタルダイレクトに聞くと、ミニラボ機器向けで、37.8℃とかで処理するので、卓上機には35℃が標準のRA-4のほうが液の疲労が少なくていいとのこと。しかしこういう記述もあるのでにわかに鵜呑みにはできない。
ここにはCP31で検索してやってくる来訪者が多いのだが、CP31、CP32、CP51あたりのユーザには朗報だろう。発色現像液と漂白定着液とを40L分まとめて買えば送料も無料になる。カード決済か代引きで家まで届けてくれる。薬液は重いのでこれも助かる。Orientalのモノクロ印画紙といっしょに買ってもいい。RA-4キットを使っていた人はみんなでこっちを買いましょう。そして供給元の存続に貢献しよう。こっちが売れすぎてKodakが売れなくなり、印画紙やフィルムも含めて事業終了となったら困るけど、まあ大勢には影響ないからご安心を。
CP31は補充液を使わない。別売りで自動補充機が用意されてはいるのだが、これは処理液の液量が下がると結果が変わるので減った分を補うというものであり、補充するのは開始時と同じ母液。補充液ではない。だから結果は次第に変動していく。2Lと処理液量が少ないので補充サイクルには向かないらしい。一方20x24が焼けるCP51は6Lの液を使い、補充タイプ。CP31は基本的に新液使い切りなのに対し、こちらは大量の液を面倒見ながら比較的長期にわたって使い続けるという大量処理型といえる。ところが、CP51だと、あるプリントを焼き、かぶったり印画紙にキズがあったりで、その直後に同じ印画紙で同じ露光時間とフィルター値、まったく同じ条件で焼き直した場合に、色が変わるという現象が起こるのだ。電源電圧の変化も原因としてはありうるが、おそらく1枚目を焼いた直後に自動補充が行われ、発色現像液の力が上がって異なる結果となったのではないかと考えている。間歇的に補充されるためにこのようなことが起こり、そのタイミングは制御できない。Worksにあるノーリツの大型機なら大液量なのでほとんど問題にならないが、6Lで自動補充形式だとこれが目につく。この現象が発生すると、それまでやってきた色合わせの作業が水泡に帰し、また一からフィルター値を出さなきゃならないので腹が立つ。CP31はなだらかに処理力が落ちていくので、処理開始時と終わり頃とでは結果が違うということが起こりうるが、焼いたすぐあとで色が変わるということは通常発生しない。手作業で補充液を補充している人もいるようだが、そうすればきりのいい時点で補充できるので突然変わって困るということがない。CP31のほうがこういった作業形態には向いているのかもしれない。
引き伸ばし機のほうは、苦労してネガキャリアまわりを自作しただけのことはあり、4x5の黒フチつきプリントがきれいに焼けてうれしい。150mmレンズでf16に絞り、2段の減衰器を入れた状態で、8x10印画紙に対して、FujiCGなら8秒とか11秒とかそんな程度。充分明るい。小サイズの引き伸ばしに対しては露光時間が短すぎるくらいだが、暗ければ手の打ちようがないけれど明るい分にはどうとでもなる。DurstCLS450のランプの暗さにはさんざん泣かされたので、この高出力ぶりはありがたい。ヘッドを最上部まで上げて、20x24以上まで伸ばした状態でも、減衰器をはずしてf11まで開けば8x10とほぼ同等の露光時間となる。3段なので拡大率から導かれる数値とも合う。これならロールへの伸ばしも可能だ。現像をどうするかは別として。
大伸ばしの場合、CP31の振動が引き伸ばし機に影響を与える懸念があるので、同じテーブル上に置くのは避けたほうがよさそう。もっともシャープネスもへったくれもないネガなんで、騒ぐほどでもないのだけれど。
結局仕上がりで50枚焼く。テストピースも含めれば60数枚か。これだけ使えば充分。KodakとFujiの印画紙を並べるとKodakのベースが色がついて見え、Fujiの白色度が高いのはKodakが古くてかぶったのか、もとからか。でも色はそこそこ出ている。同じネガから焼きくらべると、Fujiのほうがややコントラストが高いような気もするがあんまり違いがわからないのはいつも通り。
あとは、撮影のやりなおしだ。やるしかなかろう。次の冬か、ことによるとその次か。