4X5ネガのプリント。陽明門の1段増感ネガを、その直前のカットと同じフィルター値、倍の露光秒数で焼いたところ、ずっと暗くなってしまう。同秒時でも同等かかえって暗いくらい。ほんとに増感現像してあるんだろうか。そういえばノーマル現像のネガと同じ封筒に入っていた気がする。納期が違うから別扱いのはずなんだが。ただネガ袋の番記には+1とある。それとも撮影時の露出が短かったのか。あるいは増感しても大差ないものなのだろうか。ネガを光にかざしてみてもあまりシャドウ部が起きてないなとは思ったのだった。せっかくこれでうまくいくと思ったのに。ラボに質してみる。
C-41の増感現像には専用処方があるらしい。専用処方で処理しているのであれば通常より納期が長いのも納得できる。同じ薬品で時間だけを延長させる方法もあるのだろうが、あるラボでは現像液の液温を1.5℃上げているという。この記事を読む限り、増感現像すればネガは相応の反映を示すらしいのだけれど。なおそこではFujicolor Crystal Archiveも使われているようだが、「IN JAPAN by FUJIFILM Corporation」と読めるので、FujiUSAではなく日本の富士フイルム製の逆輸入なのだろう。せっかく現地に工場があるのなら、こういう数が出る品種こそ現地生産すればよさそうなものだが。手元にある個人輸入した印画紙の箱には「Made in USA, from imported and domestic components by FUJI PHOTO FILM, INC., Greenwood, SC 29648」とある。乳剤は日本から輸入して、用紙は国内調達、といったところだろうか。
FujiUSAのカラー印画紙はやはり薄くてちょっと扱いづらい。それに国産より硬い。いや紙質が硬いんじゃなくて、高コントラストで明暗の差が大きく再現されるという意味。フラッシングでもしてみるか。フラッシングとはプレフラッシュともいい、露光前の印画紙に、かぶらない程度の微弱で均一な光を与えて、印画紙本来のコントラスト特性よりも軟調コントラストの画像を得る技法。ここに詳しいがこちらではフラッシングを全面に与えるのではなく部分的に施し、それも複数回行うという非常に高度な作業を行っている。しかしセーフライトが使えるモノクロ暗室ならともかく、完全暗室が基本のカラー暗室環境では、赤外線ゴーグルでも装着しない限りそんな芸当はできない。全面に与えるにしてもハイライトに大きく作用するらしく、シャドウ部に対してはさほど顕著な効果はないようだ。それでも、焼き込み覆い焼きだけでは対応できないようないりくんだ絵柄に対しても使えて、モノクロと違ってコントラスト調節の手段がほとんどないカラープリントでは有効であると期待できる。この未踏の分野に踏みこんでみるか。