転載

再現という視覚的メディウムの原理は、音楽における調性になぞらえることができるのではないか。 芸人の平均寿命は短くなる一方で、30年も前だったらひとつの芸でずいぶん長い期間食えたものだが、近頃ではほぼ1年で賞味期限切れとなり、大多数は次へつなげ…

青空を前にかっちりとコントラストが高くエッジはキリキリとシャープ。よどみや曖昧さは微塵もないとことん明快な見え。フィールドはいい。高揚する。わがなすべきはこれのみ。別に撮影などしなくても、生の現実の中を歩き回ってこの光線条件のもとで対象が…

Gitzoの旧型自由雲台をいじりながらあれこれ迷っていると、ティルト角度、つまり上下方向のアングルを変えたいだけなのに左右の傾きや画面中心の向きも変わってしまってやりづらい。ある程度精密な角度出しが必要な用途では3ウェイ雲台のほうが使いやすい。…

WORKSにて去年の個展の6x12を小サイズで焼く。6年前狛江にあった時に焼いたプリントのベースの白が変色していて、去年は結局言い出しそびれていたので今回は意を決して指摘する。うすうす予想はしていたがまったく認めない。「6年も前のだから」ってたった6…

ピンホールの前に遮光板をつけて上側の光をぎりぎりでカットさせる。ついでに遮光板と開口部の間に合板を一枚さしこめるようにし、開口部の保護板とする。塗料のせいでピンホール切りかえのスライドがますます固くなってしまう。内部にも遮光板をとりつけ、…

昼前から雲が増えてきて午後にはほぼ全天雲。 中野跨線橋からNTTや線路へ展開。といっても三脚なしで手持ちに冠布という奇態。ようやくジッツオの自由雲台を持っていくが大ネジもアダプターもなく無用の長物。これも4、5年は使っていない。その前はずっとこ…

カメラを展示する人々

自作カメラによる写真が展示されているかたわらに、撮影に使用されたカメラも陳列されている光景を何度か見かけた記憶がある。ピンホール写真ではその傾向が強い。自作ではないが、写真家が知人に依頼して手作りさせたピンホールカメラというのもあった。そ…

ピンホールは光学系とみなしてよさそうだ。物点から拡散した光線が、ピンホールを通して収束も発散も行なれわずに光線束として整序され、物点からピンホールをはさんで反対側の投影面の共役点の位置にピンホールと同じ径で投影された点像、その集合が対象像…

朝から無雲の快晴。夕方から全面に巻雲。 東京。大手町から有楽町、京橋、日本橋、また大手町。大手門から東へ展開。八重洲側はほぼ見込なし。ずいぶん行っている場所だが、あらためて行ってみて意図する見かたでみてみないとわからない。丸の内側も薄い。足…

会場撮影。 Mamiya7、43mmL、NL120、f11、1/4-1/2。RTPII、f9-13、1/2。NPC120、f11、1/4-1/2。壁面二面が43mmでは収まりきらない。 何枚となく焼いたプリントの中から色調の揃った一組を選び出すという作業に時間がかけられず、暫定的にかけておいて会期中…

写真を記述するとはどういうことか。以前も書いているが、一般に、階調群のマッピング情報が与えられ、そのサイズが規定され、媒体の面質が決められれば、ある一枚の写真は書き尽くされる。階調情報を空間周波数に変換し、さらに符号化すれば写真は言語的に…

メディウムの交代に際しては、先行するメディウムが品質上も市場としても飽和しきってしまっているなかで、新たな需要を喚起するために次世代のメディウムが開発されるというのが世の常である。そこで強調されるのは利便性や経済的効率の向上であり、品質は…

新しさの追求をもうやめようとしたポストモダニズムさえ、ひとつの新奇な意匠としてしゃぶりつくしてしまうほどの新しさへの執着。ポストモダニズムのひとつの傾向として歴史の参照があり、文脈をおきかえることで過去の所産を違うしかたで見せようとしたわ…

人が本を読まなくなった。かの世界では話の前提になっている現状認識だが、そんなことはまったくない。明治期以前を考えれば識字率は比較にならないし、全人口に占める教養書や専門書の購読者比率も圧倒的に高い。3、40年前にくらべればそういった本が売れな…

膠着していた生業である程度納得いくものを作れて全体に調子が上向く。ずっと不調だった仕事がこれだけ影響していたとは。自信というのはなくてはならないものだ。自己否定、自らを疑いの俎上にのせることでさえ自信の支えは必要である。もっとも苛烈でパワ…

絵画の終焉。聞き飽きた話だ。ジャズや西洋楽壇音楽の現状を見れば明らかなとおり、ジャンルというものはいずれ終わる。だがメディウムはそう簡単には終わらない。制度疲労で息も絶え絶えなのは「現代美術」なるジャンルのほうなのであって、「何かを描く」…

相模原。駅の外は初。都内は白っぽい空だったがこちらは快晴で少しは青い。光化学スモッグだったのか。米陸軍補給施設があり北口は空が広い。5ー6時イムラ封筒。昨日の残りとTMYとAcros135/36使いきる。ひととおりのことはやってしまい残さず撮りきろうとし…

自分の属すべき文脈、と問題措定する時点で、観客側に立地していた。文脈というのは受容する側が整理し解釈する段で必要とするものであって、つくっている立場には直接は関係ないもののはず。他人の展示を見過ぎたのだ。みずから観客となることによって観客…